リレーBLOG第1弾:ジュネーブ通信(コロナ下の仕事と生活)

I hope things get back from an unprecedented COVID-19 situation to normal soon, however I believe we can modify everything in conjunction to new business because we all have acquired MOT capability!
ジュネーブの景色(筆者のオフィスもちらっと写っているとか)

芝浦MOTリレーBLOGの第一走者を拝命しました14期生 秋山です。
 私は芝浦MOT卒業直後の2018年4月より、現在働いております企業の海外子会社の本社があるジュネーブに駐在し、研究開発部門の一員として様々な新製品開発プロジェクトのプロジェクトコーディネーションを行っております。
ご存知の通り、各国にはそれぞれの法規制が存在し、それら規制に準じた製品をアレンジして開発する必要がありますので、日本市場では投入することができない製品についても海外子会社ではカバーしていくことから、将来の規制動向を踏まえた様々な条件に対応可能な広い視野での技術スクリーニングや実開発への応用がマネジメントする上で深慮すべきポイントとなります。

 本寄稿では、約3年間の欧州駐在生活を踏まえ、特に現在のCOVID-19における環境の変化に視点を向けて、情報を共有させていただきます。皆様の今後のビジネスや生活のご参考になれば幸いです。

研究開発コーディネーション業務における環境の変化

 弊社海外R&Dは、企画・管理部門、製品技術開発・設計部門、要素技術開発部門・品質管理部門、各種分析部門が様々な国に点在しております。また、各種製品開発については、必要となる要素技術を有する外部企業と共同開発契約を結び開発を行うものもあります。そのため、日々の進捗管理には電話会議やビデオ会議で行うものの、管理部門の我々は各種サイトに赴き現場で現物を確認しつつ議論をすることで、実状を深く理解したうえで必要に応じてスケジュールや開発方向性の調整を行ってまいりました。

毎週のように飛行機に乗り(ひどい時には日帰り出張や数サイトをまたいだ出張もこなしつつ)仕事を行うことは正直タフな環境ですが、効果的に開発管理を行う上では必要不可欠であるとの認識のもとで仕事を行っておりました。外部企業との打ち合わせを行うために、知らない国、知らない土地、知らない言語の片田舎にも行くこともありました。(別の国の空港からレンタカーでマニュアルカーを自分で数時間運転して…こういった面白話はまた別の機会で)

 上述の環境はヨーロッパでのCOVID-19の猛威によって大きく変わってしまいました。2020年初頭には、まずお隣のイタリア、ミラノ地域で感染者が爆発的に増加し、次いでイギリス、フランス、スペインと広がり、その後は皆さんのご存知の通りです。ジュネーブはミラノまで車で4時間くらいですので、いつこちらに感染が拡大してくるのか戦々恐々としながら生活しておりました。目下(2021年1月時点)スイスでは2,000人程度の新規感染者であり、数か月前は10,000人を超えておりましたので、このまま落ち着いてくれることを祈ってます。(とは言えスイスは大阪府と同じくらいの人口ですので、大阪で毎日2,000人は多いですよね…)

 このような変化に伴い、2020年3月頃から弊社も在宅勤務が始まり、出張についても基本的に禁止となり、全てを電話やメール、Web会議での進捗管理に変更せざるを得なくなりました。これまでの様に直接会う日程を決め(ある意味プレッシャーをかけ)効果的に進捗管理する方法をとることができなくなりました。
当然、各国のCOVID-19の状況も踏まえたスケジュール調整の頻度も多くなり、実態としての開発状況が把握できにくくなりました。時には、本当にCOVID-19が要因なのかと疑ってしまうような理由で、目標未達であることを報告されることもあります。もちろんこういった状況の中で皆が苦労しながら、また工夫しながら仕事を進めていると信じておりますので疑ってしまうことは間違っているかもしれませんが。

 そこで私は、全ての会議について議事録をタイムリーに作成し、To do list (& Due date)、担当する人までを確実に打ち合わせ中に確認し、必要に応じ進捗状況を直接担当者に電話やメールで確認することにしました。
これまでは各部署や外部企業単位でコンタクトパーソンを決めておりましたが、情報の入手、また責任の所在がこれまで以上に不明瞭になりがちでしたので、これら問題を解消するために手間はかかりますが、取り急ぎ採用した方法です。

その後、弊社が採用しているMicrosoftの各種Applicationを活用して、プロジェクトごとにMicrosoft Teamsでのタイムリーなコミュニケーション、ファイルなどの一括管理、Microsoft plannerでのTo do list管理、One noteでの議事録管理等、プロジェクトに関わる人が誰でも状況を随時把握できるよう管理する体制をとることにしました。誰が、何を、いつまでにやらなくてはならないのか、その進捗状況はどうなっているのか、進捗が滞っているアイテムは何がボトルネックになっているのか、担当者以外でボトルネックを解消するアイデアの共有、等を促進することが目的です。

メンバー(特にOld-styleの人)の抵抗もありましたがNew-normalとしての環境をいち早く整備するためにも必要不可欠であることを説明し新しいシステムを導入しました。とはいえ、少しずつ導入していき一つ一つ慣れてもらうことが重要でした。

 現在の方法がベストであるとは思っておりませんが、これまでの樹形図のような管理体制ではなく、今後の在宅ワークが主体となるであろう環境下においては、インターネットを十分に活用し、プロジェクトリーダーがサイトを跨いだ全ての担当者を一括管理できるようなシステムが必要になるのではないかと身をもって感じております。

日常生活回りの環境の変化

 COVID-19の猛威が広がりつつあった2020年初頭は、ジュネーブ市民もそれほど深刻にとらえていなかったように思います。ただ、中国から広がったCOVID-19ということもあり、こちらに住んでいるアジア人への偏見の目は今まで以上に感じました。公共バスで通学している日本人がコロナと指差され泣いてしまうこともあったと聞いております。マスクもほとんどの人がしておらず、バーやレストランでは普段と変わらない様子でした。

 3月末だったと記憶しておりますが、スイス、ジュネーブも感染者が大幅に増加し、政府がロックダウンを各州に指示したことで、状況は一変しました。スーパーやファーストフード店(持ち帰りのみ)、生活必需品関連(ガソリンスタンド、薬局等)以外は全て営業停止となり、移動時はマスクが必須です。守らない場合は罰金や逮捕までありますので、市民は順守して行動するようになりました。

特にこたえたのは国境封鎖です。ジュネーブの物価は極めて高いので、私を含め食料品の買い出しはフランスまで車で行く人が多いのですが、行けないことで値段はもとより食料品の種類もそれほど多くないジュネーブ市内で全てを賄うことになりました。フランス買い出し組もジュネーブ市内で購入しますので、スーパーは混雑することが多く、入場制限が設けられスーパーに入るまで30分くらい待つこともありました。

幸い食料品自体が不足してしまうことはありませんでしたが、政府の通達を守り、2メートル間隔に引かれたラインに順番に並び、各店に入る際に店員が手に消毒液を吹きかけるor自動消毒液噴霧器に手をかざすことが必須です。本ルールの施行直後は混乱もあり、時には店員との喧嘩も見かけましたが、今では市民皆ルールを守り生活しているように感じます。

(写真はジュネーブではありません、あしからず)

 2020年3月末のロックダウンは一か月ほどで解除になりましたが、その後さまざまなルール(レストランやバーの営業時間短縮、停止等)が適宜通知されており、情報を常に入手しておかなければ身動きも取れない状況が続いております。国境も解放されましたが、不要不急の越境を避けるためスーパーに買い出しに行くにも書類やウェブでの申請が必要であったり(フランス語…)、急に無くてもよくなったりと翻弄されております。
学校は3月末のロックダウン時には1か月程度のウェブでの授業に切り替わりましたが、以降はマスク着用、ソーシャルディスタンスを守った上で学校での授業が再開しております。なお、1月中旬から2月末まで、ジュネーブ内のスーパー、日用品店以外は営業停止になりました…

 こちらの国民性が影響しているかもしれませんが、昔に比べて移動が容易になった現代では、罰則付き規制で明確に指示しないと行動をおさえられないかもしれません。ヨーロッパは陸続きですので、人の流動をおさえることがなかなか難しいですが、ヨーロッパの国々の合計人口と日本の人口を比較した場合、日本自体が欧州ひとかたまりと考えても間違っていないと思います(そもそも人口密度が高いですし)。

つまり、一定の感染が広がってしまっている日本での罰則付き行動制限がない現状、結局日本国民の一人一人が今まで以上に意識をもって行動しないことにはCOVID-19を抑え込むことは困難ではないかと考えます。こちらでは違反時の罰金額も大きく、例えばスイスの家族がフランスの移動禁止区域に遊びに行き、スイスに戻る際の国境で嘘の報告を行い10,000CHF (約115万円)の罰金を支払うことになったようです。これは、道路についているカメラでナンバーを確認し虚偽が明るみになったようです。ちなみにこちらではホームパーティーもよく開かれるのですが、各州政府がホームパーティーの人数制限も通達しており、隣人が通報できるシステムになっています。

 ここで申し上げた環境はヨーロッパ独自の管理社会の一つの例としてとらえていただければと思います。欧州に駐在し、またCOVID-19の環境下におかれて改めて日本の国民性の素晴らしさを再認識しました。今後日本がヨーロッパのような状況にならないことを切に祈ってます。

 私の周りには駐在を終えて帰国した人もおりますが、昨今の日本での状況を踏まえ人一倍感染には気を付けて帰国しているようです。いつか無事本帰国が叶い、直接皆様とお会いし、おいしい日本食とお酒で舌鼓を打ちつつ、様々なお話ができることを待ち望んでいます。

 I hope things get back from an unprecedented COVID-19 situation to normal soon, however I believe we can modify everything in conjunction to new business because we all have acquired MOT capability!
25th January 2021 by T.Akiyama.

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